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◎がん対策基本法をめぐって
がん対策基本法はがん患者の長い切望が結実した初めての法律である。その特徴のひとつは、がん対策計画を策定するために設置される『がん対策推進協議会』にがん患者、患者家族や遺族が入ることが定められていることだ。
「患者や家族会といった当事者の声がこれからは医療行政を動かす兆しがここにはあります。政府は三次にわたり10カ年総合戦略を進めてきました。けれども患者や家族にとっては、がんについて納得のいく治療が受けられない不安や不満があるのが現実でした。この法律によって医療を受ける側が主体的に行動し、納得のいく医療を求めていく道が開かれたことは、画期的なことでもあります」
そう語るのは、民主党『次の内閣』のネクスト経済産業大臣に就任された参議院議員、増子輝彦議員だ。これまでもひとりの政治家として、患者団体や医療の現場の声に耳を澄ましてきた。
「一概にがん対策といってもがんの予防から終末期医療まで、その内容は多岐にわたります。『がん対策基本法』には緩和ケア・放射線治療の推進・専門医の育成や、がん治療を専門的に行う病院の整備などが盛り込まれました。医療、介護、福祉の改革は財政負担と背中合わせでもあります。毎年一兆円ずつ増加する医療費の抑制が議論の中心に置かれているのです。これはやむを得ないことでもありますが、政治は国民の求めている医療の質を充分に取り入れる努力が必要になります」
我が国のがん死亡者は年間32万人にのぼる。81年からは日本人死因のトップであり、10年後には45万人が毎年がんで死ぬと予想されている。まさにがん対策は国家の課題だが、アメリカのがん対策予算が約6700億円であるのに対して、日本は約534億円(平成19年度)に過ぎないという。増子議員は、がん治療の重要分野への予算の重点投入と、国家が戦略を持ってがん対策に臨む必要性を強調する。
◎がんの早期発見・早期治療とがん撲滅の医療への共感
がん対策基本法にも盛り込まれた『早期発見と予防』は国が掲げるがん対策の中心的思想でもある。増え続ける医療費と財源の問題を背景としながらも、それは私たちにとっても歓迎すべき視点だ。病気になって辛い治療をするよりも、病気にならないで、あるいは重篤な事態に至らないで済むならばそれにこしたことはない。
「がんの予防については禁煙や生活習慣の見直しが指摘されていますが、早期発見、早期治療は検査機器を含めた医学の進歩によって初めて可能となりました。がんには治療だけでなく予防や研究など総合的戦略が必要となります。科学的な成果は国民に還元されなければなりません。乳がんのマンモグラフィー検査、あるいはMRIや肺がんに対するヘリカルCT。PET画像診断もそのひとつです。いち早くPETを導入し、がんの早期発見と早期治療を実践し、さらに来年10月の稼働が待たれている究極のがん治療、陽子線治療装置を民間病院として日本で初めて取り入れるなど、『がん撲滅の医療』を推進されている財団法人脳神経疾患研究所の理事長、渡邉一夫先生には大いに共感しています」 増子議員は医療の世界に特別な使命感を感じているという。
「人の命を救う仕事に携わろうとする医師、看護師、その他の皆さんには頭が下ります。福祉や介護の現場も同じです。奉仕と感謝という言葉がこれほどいきいきと根づいている世界はない。けれども過酷な労働環境の問題があることは十分理解しているつもりです。医療を受ける側にとっては地域間の格差も大きい。医師不足の問題も大きな課題です。先日、奈良県で悲惨なことがありました。救急車で運ばれる途中の妊婦の方が流産してしまった。流産の危険があるにもかかわらす、救急患者を受け入れてくれる病院が見つからない。そこには医療や救急の現場の諸課題が現われていますが、やはり、日本には国民が安心して命を預けられる医療制度が必要です。医療従事者がどんなに必死に働いても解決しない問題もあります。これは政治の課題として肝に銘じています」
政治の役割には、やはり大きなものがある。医療はひとの生死に直接関わる世界だ。真剣に取り組む議員が、一人でも多くなることが望まれる。
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